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さよなら北海道 |
10月23日、金曜日。麓郷。午前5:00。気温は0℃ぐらいか。
辺りはまだ暗く、時折俺一人のログハウスを風が揺らした。身仕度を済ませ外に出る。寒い。薄氷を踏む音
が響く。なるべく音を立てないように、チョークを絞って暖機する。段々と東の空が明るくなる。辺りを冷たい
霧が包んでいた。荷物をつけ終えると、ログハウスを眺めながらタバコに火をつけた。漂う煙に2日前出発
していったカンちゃんを思い出した。
彼もまた長く居たこの地を後にするその日、最後のタバコを吸っていた。吸い終わるタバコの煙をふーっと吐き出すと、少し間をおいてこう言った。 『 いつもさあ、この瞬間が一番イヤ
なんだよね。 』 その目は寂しそうに笑っていた。そして今日、全くその通りだと思った。出発する直前までは現在なのだ。でも今ここを離れる瞬間から、それは想い出に変わる。その境の時間は、何とも嫌なものだと。
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名残を惜しむように、富良野路を走り出した。0℃の空気はわずかな隙間から容赦なく入ってきたが、その冷たさでさえ、どんどん想い出に変わっていく。きっとまた来るだろう。何度も。でも今年の経験は一生忘れ得ないものとなるはずだ。トラックに揺られて仲間と走ったこの道。両脇の畑を見ると今にも汗だくだった仲間が走り寄ってきそうだ。そして苫小牧までの途中、暖かいコーンスープを震える手で飲み干した。麓郷を出て3時間。約200km。苫小牧港フェリーターミナルに到着した。これで本当にお別れだ。
ブルーハィウェライン大洗経由東京行き『さんふらわあ・さつま』12000t。11:45出港。
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フェリー通路と中央ロビー。暖かい船内でほっと一息ついた。東京までは30時間。 |
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船内案内図。右はゲームコーナー。 |
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右は2等船室。2等にも2つあり、短時間ならば窓のある広間で毛布など有料。船内泊となる長距離は窓のない中央の広間。無料で寝具が割り当てられている。今回は揺れ防止装置が効かないほど揺れに揺れた。まっすぐに歩けず、軽い船酔いにかかってしまった。ゲロ袋が配られるほどの揺れだったが、床に寝たまま静かにしているとスグによくなった。 |
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フェリーの食事はあまり選べないうえに高い。旅費節約で30時間カップラーメン1個でしのぐ(笑) |
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間もなく東京。天候は雨。東京の友人訪ねてから、山形へと帰宅した。 |
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